任意整理とクレジットカードについて
クレジットカードのショッピングやキャッシングの機能を使っているうちに、支払額が大きくなり支払いが困難になってしまった時には、任意整理の手続きをすることが可能です。 クレジットカードの場合はショッピングのリボ払いなども任意整理の対象になります。 ただし、任意整理をするとブラックリストに載ったり、クレジットカードが使えなくなるなどの制限もあります。 クレジットカードの債務で任意整理をする場合の注意点と、任意整理をした後の流れについてみていきます。
任意整理でクレジットカードの債務を減額することができる
任意整理とは、裁判所が関与せずに債権者と債務者で交渉を行う手続きです。 債務整理の中で最もよく利用される手続きです。 任意整理では債権者と交渉して、返済できるように無理のない金額にすることができます。 任意整理はクレジットカードのキャッシング枠だけでなく、ショッピングリボ払いも整理することができます。 任意整理の場合は原則として借金の元本そのものは減額できません。 代わりに月々の返済を減らしたり、将来の利息を免除してもらう方向で調整します。 また、過去に過払いがあった場合にはその分を返済に充当してもらうことも可能です。
任意整理の手続きをするとブラックリストに載ってしまう
ブラックリストとは
ブラックリストとは、個人信用情報機関に事故情報が記載されることを言います。 リストという呼び名から一覧となっているように思ってしまいがちですが、実際には個人信用情報に金融事故を起こしたことがわかる記載がされることです。 個人信用情報はクレジットカードを作ったり、ローンを組んだりする時に金融機関が参照にするものです。 ブラックリストに載ってしまうと、過去に返済をきちんと行わなかったということがわかるようになります。 その結果、お金を貸してもきちんと返済されるかどうかわからない人、という判断がされてしまいます。 そのため新たな借り入れやローンを組むことができなくなってしまいます。 債務整理の他にも携帯料金などの延滞などもブラックリストに載る理由となります。
任意整理をするとクレジットカードが使用できなくなる
任意整理はお金を借りた側からすると借金を整理して返済を楽にすることですが、お金を貸した側から見ると契約を破って損を与えられたと思います。 そのため、任意整理を行ってしまうとブラックリストに載ります。 ブラックリストに載ると、新たなクレジットカードの作成は出来なくなります。 またクレジットカードを任意整理すると、そのクレジットカードは解約され使用できなくなります。
ローンも組めなくなる
任意整理を行った後には、ローンを組むこともできなくなります。 これもクレジットカード同様に、ブラックリストに登録されているのが原因です。 返済能力がないと判断されるため、ローンの審査に通りません。 ただし、新規にローンを組む場合の話であり、すでにローンを組んでいてそのローンを任意整理から外した場合には、今まで通り支払いがを継続することができます。 支払いに遅延や延滞がなく、きちんと返済を行っていくことができれば、返済中のローンには影響はありません。
任意整理は特定のクレジットカード会社を整理の対象から外すことが可能
特定のクレジットカード会社だけ対象から外すことはできる
任意整理は裁判所介さずに行う私的な交渉のため、整理をする債務を選択することができます。 そのため特定のクレジットカード会社を任意整理の対象から外すことができます。 クレジットカードを任意整理してしまうと、その時点で解約され使用できなくなります。 ですが、整理の対象から外すことで使えるクレジットカードを残すことができます。
任意整理をするといずれどのクレジットカードも使えなくなる
任意整理をした際に任意整理をせずに残しておいたクレジットカードですが、これは任意整理をしている期間中もずっと使えるというわけではありません。 クレジットカード会社は定期的に契約者の個人信用情報を、個人信用情報機関に問い合わせてチェックしています。 もちろん任意整理をしたということもこちらに記録されており、借金が返済しきれなかったというブラックリスト状態になっている記録を見つけると、残しておいたクレジットカードも利用停止になってしまいます。 個人信用情報をチェックする頻度に関しては、クレジットカード会社によって異なっており、毎月チェックしている会社もあればクレジットカードの更新のタイミングでしかチェックしない会社もあります。
クレジットカードの任意整理をする場合の注意点
引き落としているものは任意整理前に変更する
クレジットカードを任意整理する場合、そのカードの利用ができなくなります。 電気代などの公共料金や保険・携帯電話代などをクレジットカード払いにしていると引き落としができなくなるので、銀行引き落としやコンビニ払いなど事前に支払い方法を変更しなければいけません。 引き落としの変更の際はカード会社ではなく、それぞれの会社に連絡を行います。
ショッピングローンを任意整理すると購入した商品を引き上げられることがある
クレジットカードを任意整理する場合、キャッシングだけでなくショッピングも対象になります。 同一のクレジット会社でキャッシングだけでなくショッピングも利用している場合、会社単位での手続きになるのでショッピングも任意整理をすることができます。 ただショッピングの支払いが残っていると、購入した商品が引き上げられる可能性があります。 特に車や大型の家電製品など、高額の商品は回収される可能性は高いです。 弁護士などに依頼をすると、引き上げするかどうかの確認をしてもらうことができます。任意整理は債権者を選んで債務整理ができるので、どうしても残しておきたい商品がある時は、そのカード会社を任意整理の手続きから外すという方法もあります。
キャッシング枠とショッピング枠のどちらか一つを任意整理することはできない
同じ会社のクレジットカードを任意整理する場合、キャッシングとショッピングの両方が対象になるので、どちらか一方を残しての任意整理することはできません。 キャッシングの利用で利息制限法の金利が発生している場合は、過払い金の請求ができる可能性がありますが、ショッピングローンを残したままにして任意整理の手続きを進めることはできません。 もし過払い金が発生したらショッピングローンの債務を相殺することになり、債権者と話し合って分割で返済をしていくことになります。 ただカード会社によっては話し合いに応じてくれないこともあり、上述したように高額の商品などは引き上げられるケースもあるので気を付けなければいけません。
任意整理をすると完済から5年間はクレジットカードを作成できない
任意整理を行なうと、ブラックリストに載ることになります。 すると、完済してから5年間は新たにクレジットカードを作ることはできなくなります。 さらに任意整理後の分割返済も滞るようなことがあれば、5年間という年月はさらに延びることになります。 ただし、一生クレジットカードが作成できなくなるわけではありません。 クレジットカードが作成できない原因はブラックリストに登録されていることですので、返済を終えて5年間が経過すれば、再びクレジットカードを作ることができるようになります。
任意整理後にクレジットカードを作成する場合のポイント
任意整理したところに申し込まない
任意整理を行なうと新規のクレジットカードの作成ができなくなります。 任意整理は金融事故として扱われるので、手続きを行うとブラックリストに登録されます。 ブラックリストに登録されている状態は、返済能力がないと判断されるためクレジットカードの作成ができません。 ブラックリストに登録される期間は5年間です。 この期間内はクレジットカードの作成ができません。 5年間経過後にはクレジットカードの作成ができるようになりますが、任意整理を行なったクレジットカード会社のカードは再び作成することはできません。 同じクレジットカードでなくても、クレジットカード会社が同じグループ会社だった場合も同様に作成することはできません。 なぜなら、多くの会社で社内ブラックと呼ばれる独自のリストを持っており、そこに任意整理をした人の情報を保管しているからです。 そのためブラックリストから情報が削除されても、任意整理をしたことがわかるので審査に通ることができなくなります。
短期間に複数の会社に申し込もない
任意整理後に新たにクレジットカードを作成する場合は、説明したように任意整理をした会社には申し込まないことが大切です。 その他にも、一度に複数の会社に申し込みをすることも避けた方が良いです。 クレジットカードに申し込んだ情報も個人信用情報期間で共有されます。 ですので、クレジットカードの審査時に担当者がその状態を知ることになります。 いくつもの申込みがあることは、何かしら事情があるのではないかと連想させるため、担当者への印象も良いものではありません。 そのためリスクがあると思われてしまい、審査が通らないことがあります。 ですから、一社に絞って新規のクレジットカード作成の申込みをすることが大切になります。
信用実績を作る
任意整理後5年が経過すると登録されていた事故情報削除され、これまでの他社との取引履歴も同時に削除されます。 過去の取引履歴が削除されるということは、個人信用情報機関の記録もクリーンな状態となるわけです。 クレジットカードを新規に作成する際の審査では、事故登録が削除されていることも必須条件ではありますが、信用実績も重要なポイントになります。 そのため金融機関と取引を行なった記録がない、クリーンな状態は過去にブラックリストに載ったと疑われ審査が通らない原因となります。 そのためクレジットカードの作成を申し込む前に、携帯電話の機種変更代金を分割で行なうなど、返済に関する取引履歴を個人信用情報機関に記録として残すなどの信用実績を作ることが重要です。
任意整理後にクレジットカード代わりになるカードとは
デビットカード
デビットカードとは決済と同時に登録した口座から代金が引き落とされる、海外やネットショッピングでも使用可能なショッピングカードです。 決済時に借り入れを行わないため、銀行口座の残高がそのまま利用可能額になるので使いすぎを未然に防ぐ事が出来ます。 但しクレジットカードの様に分割払いには対応していないので、利用時には注意が必要です。 任意整理を行った後は個人信用情報が一時的にブラックリスト状態になる為、新規のクレジットカード発行や既存カードの利用が制限される事になります。 しかし、デビットカードの発行には審査が必要なく任意整理後でも新規発行が可能です。現金を使用しない決済方法という意味でデビットカードはクレジットカードの代用品となります。
家族カード
任意整理の後にクレジットカードを発行するもうひとつの手段として「家族カード」の利用が挙げられます。 クレジットカードの発行は契約者の個人信用情報に基づいて審査が行われます。 既に審査をクリアしてクレジットカードを所有している人であれば、同じカード会社のクレジットカードを家族用に発行する事が出来ます。 仮に自分の個人信用情報がブラックリスト状態であっても、身内の信用情報には影響はありません。 家族カードには特に制限は設けられておらず、通常のクレジットカードと同様に使用することができます。 但し、家族カードの利用額も元となった主体のクレジットカード契約者に請求されるので、自分で利用した分はきちんと主体者に支払う事が必要です。
まとめ
任意整理とは、債務整理の手続きの一つで、借金の返済が困難になった場合に債権者と直接交渉して減額する方法です。 クレジットカードの借金についても任意整理することが可能ですが、任意整理を行うとブラックリストに登録されてしまいます。 ブラックリストに登録されると、新規にクレジットカードが作成できなくなるだけでなく、住宅ローンやカードローンも新規に契約できなくなります。 一定期間経過するとブラックリストの登録がなくなるため、新規にクレジットカードが作れるようになりますが、任意整理を行った業者に対しては作成できなくなることもデメリットの一つです。 そのため、任意整理のメリット、デメリットを把握した上で任意整理を行うことが大切です。
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